White cloud over blue sky
シンガポール人デザイナーと日本工芸。
アジアの空に浮かぶ、新しいエスプレッソカップ「Cloud」
The Story
出会いは、2016年1月。
気鋭のシンガポール人デザイナーCasey Chenが、美濃焼の産地を訪問したことから始まる。Caseyは、和紙を用いた伝統技法「里泉焼」の質感に惹かれ、岐阜県瑞浪市にある深山の工房を訪れた。
そこで、出会った日本の精巧なものづくり。
国境を超え、生まれたアイデアは、丸みを帯びたエスプレッソカップ。
真っ白な白磁のカップに、プラナカンカラーのソーサー。
二つは溶け合い、新たな絆を生み出していく。
デザイナー、ケイシー・チェン氏インタビュー
ケイシーさんはデザイン業界で20年以上ご活動されていますね。様々なデザインプロジェクトに関わった経歴をお持ちです。現在は何を制作中ですか?
絵本のプロジェクトに取り組んでいて、もうすぐ出版される予定です。
カフェのインテリアデザインや会社のロゴデザインなど、これまで様々なデザインプロジェクトに携わってきました。自分の活動が特定の分野に縛られているとは思いませんが、なんらかの形で自分を表現できるのであればやりたいですね。
私は自分のことを、”楽しいことのためのクリエイター”と思っていて。それに加えて、私の人生の信念は「実現させる」ことです。単にクリエイティブな発想を持つだけではなくて、その発想をアウトプットして現実化させるということです。
「Cloud」カップアンドソーサーをデザインしたプロセスについて、お聞かせください。
まさに「デザインの旅」と言えるでしょう。文字通りにも、比喩的にも。文字通りというのは、実際に日本に行き、メーカーを訪れたことです。その旅を通して磁器がつくられるまでの生産過程を把握できましたし、滞在中は日本の文化と小売業の環境に身を置いて思考をめぐらすことができました。
そして「比喩的」というのは、デザインの工程が旅のような道のりでした。今回のプロジェクトは、ありふれたものや実用的な製品にしたくなかったのです。見たことのないようなデザインは、現代において、もはやほとんど存在しません。みなさんもおわかりかと思いますが、インターネットで検索すると、ものすごい数のエスプレッソカップのデザインに行きつく。私はデザインで、何か人をわくわくさせるようなことをしたいと思っていました。そして試行錯誤の後にたどり着いたのが、底が丸くて自立しないカップだったのです!
なぜ、雲なのですか?
この商品企画のプロジェクトは、2016年にシンガポールと日本の二国間貿易が50周年を迎えるにあたってスタートしたので、私の課題は、この二つの国を象徴する製品をつくることでした。その時、すでに日本製品の品質と統合性を打ち出そうということは決まっていました。
しかし、明確にシンガポール的だとわかるものを考案するのに苦労しました。多民族文化、国際的地位、現代社会といった、様々な角度でシンガポールを考えてみたのですが、なかなかアイデアは進みませんでした。
私はアイデアに行き詰まった時、リラックスするためよく空を見上げます。その時も窓の外を見ていて、青い空に雲が浮かんでいるのが目にとまりました。そしてシンガポールの空に浮かぶ雲はとても低い位置にあり、近い、と気がついたのです。そんな雲は他では見たことがありません。それをきっかけに、このエスプレッソカップアンドソーサーのアイデアを発展させていったのです。
日本で磁器メーカー「深山」を訪れた際、どのような印象を持ちましたか?
日本人と日本人の作法の評判が良いことは言うまでもありません。深山の工場に到着して、職人たちの熱心な仕事ぶりと細部への集中力を目の当たりにしました。10代後半の若者から60歳を優に超えている男性まで、みんなが休むことなく細心の注意を払って作業しているのです。ひと言で表すなら、責任感でしょうか。会社のために力を合わせて働く従業員1人ひとりに、責任感があったのは印象的でした。
最後に、このプロジェクトへの思いをお聞かせください。
このコラボレーションの成果にとても満足しています。完成した製品は私のデザイン哲学だけでなく、深山のメーカーとしての強みと品質が反映されています。
「Cloud」を通じて日本工芸を世界に発信できる、これは本当に豊かな経験です。深山や日本のものづくりが知られていくことを期待しています。このカップには、そうなるだけの価値があると信じています。
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Technique
- 鋳込み成形
本製品は「鋳込み」という手法で作られています。鋳込みとは、ろくろを使わず、石膏で作った型を用いる器の成形方法で、薄さと強度を兼ね備えた器づくりが可能となります。
- 里泉焼(絵付け技法)
里泉焼の特徴はその絵付け技法にあります。銅板を印刷原板とした和紙を用いて線画を磁器に転写する技術で、ひとつひとつ職人の手で行われます。白磁の上に刷毛で貼りつけた和紙を素早くはがすと、文様が浮かび上がり、特別な手触りを生み出します。深山の本拠地である岐阜県瑞浪市稲津町で、日本で初めて銅板による転写制作が行われたのは1846年(弘化三年)のこと。現在ではごく一部の窯元だけが継承する貴重な手法です。
Product
シンガポールと日本が生み出した、新たなエスプレッソカップ「Cloud」。
<ソーサー>Φ12.8 (cm)
<ホルダー>Φ5.4 x H1 (cm)
※ 本製品は手作業でつくられているため、一点一点、風合いが異なります。
※ 食器洗浄機、電子レンジはお使いいただけます。オーブンではお使いいただけません。
About
Casey Chen
1971年生まれのシンガポール人デザイナー・アーティスト。ニューヨークのデザイン賞を受賞するなど、国際的に活躍する。造形的なアプローチを得意とし、今作が初めての日本工芸とのコラボレーションとなる。
Selected works
Miyama 深山
深山は、美濃焼の中でも輸出用食器の製造が集約している瑞浪地区にて1977年に創業。地域に培われた技術を礎に、この鋳込み製法で、丁寧なものづくりを続けてきました。その高度な技術が、雲を形どった本製品を生み出しました。
Selected works:
Article:
Media Reviews
「Cloud」は以下の国内外メディアにて取り上げられました。
Buying Guide
一般のお客様も下記の方法でご購入いただけます。
- お問い合わせフォームに、氏名、メールアドレス、電話番号を入力。
- お問い合わせ内容の欄に、ご住所、購入希望商品のカラー、数量、その他ご希望を入力し、フォームを送信。
- 弊社より、注文確認のメールを差し上げます。合わせて、商品代金と送料のご連絡をいたします。
- 内容をご確認の上、代金のお振込みをお願いいたします。ご入金確認しだいの発送となります。
- ※ 恐れ入りますが、お振込みの際の振込手数料はお客様のご負担にてお願いいたします。
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